い青躾手をな一



そんな機会はなかったが、自分を助けてくれた唯一無二の彩を守る為なら、きっと朔良はどんなことでもやってのけたはずだ。
彩の存在だけが朔良を支えていた。

夕暮れの自転車置き場で、二人の影が重なったのを見てショックを受けた。

「あ……っ……」

心に刃を突き立てられるような風景を見ても、彩に向ける思慕だけは変わらなかった。ひっそりと遠くから彩の姿を見健營瘦身計劃て居たいと願っただけの朔良を、悪魔が蹂躙する。
陸上部部室に入部届を持って足を踏み入れた時、朔良はいきなり誰かに襲われた。
ぐるりと天地がひっくり返る。

成長した朔良は、社会と隔絶された高校という狭い世界では、何も起こらないだろうと油断していたのかもしれない。
だが、朔良の容姿は思春期を超える頃には、本人の思いとは裏腹に爛漫と咲く華美な枝垂れ桜のようにどうしようもなく際立っていた。
同じ年代の同性の中に入ると、異質な美貌は顔を伏せていても注目を集める。
誰かに言わせれば、物憂げに佇む朔良は「手折るべき一輪の花」だった。
一途で潔癖な性格にそぐわぬ妖艶な容姿を持ったのが、朔良の一番の不幸だった。

*****

姿かたちは違っても、這う手と荒い息に、自分を襲ったのが鏡の向こうからいつも朔良を呼ぶ夢魔だとわかった。
夢魔は数人居て、容赦なく朔良を蹂躙した。

「あ……あぁっ……!おにいちゃん……!助けて!」

助けを呼ぶ声も伸ばした手も、彩に届かなかった。
乱暴されたことは、誰にも知られてはならなかった。
誰かの口から自分が穢されたと、彩の耳に入るのを朔良は恐れた。唇をかみしめ、朔良はあの日のように呆然と虚空を見つめたまま静かだった。

「明日も来いよ?良いな。仲良くしようぜ?」
「可愛いなぁ……何か、そこらの女より綺麗な面してるのな、お前。誘ってるような濡れた目だな、ぞくぞくする。……こういう美人、何ていうんだったっけ……青蛾?」
「俺のものになれ、朔良姫。手放すのが惜しくなっちまった。」

あちこち撫でまわしながら、相手が吐いたその言葉にはっと瞠目した朔良は、自分が再び恐ろしい夢魔の手に落ちてしまったのだと理解した。
そして黙って耐えてさえいれば、いつか相手が女ではない骨ばった自分に飽きて自由になれるだろうと考えた。

どれ程嫌悪しても、雪花石膏の肌が薄く色づき、胸の突起が朱色に固くしこる。
やわやわと揉みこ營養師推薦まれて、屹立する青いセクス。
気持ちを裏切り、生理的に反応する自身の身体を朔良は呪った。

のしかかる巨躯に蹂躙されながら、唇をかむ朔良を眺める島本という名の夢魔は、上機嫌だった。不思議と島本は、朔良の身体を手酷く痛めつけるようなことはしなかった。

グラウンドの片隅の部室の中に迷い込んできたような朔良を、面白がって仲間と共に貶めたのち、改めて朔良の姿を陽の中で見たとき、島本は驚愕し密かに固唾をのんだ。
粗暴な島本は、倒れ込んだ朔良の姿に一目で心を奪われた。そして無垢な天使の純潔を穢したことに畏怖し、後悔していた。

島本は、乱暴者だったが一度朔良を酷く抱いた以外は、壊れ物に接するように注意深く扱った。
そればかりか自分以外の者が、朔良の肌に勝手に触れることを許さなかった。

「これからは、あいつに手を出すな。あいつは俺の女にする。いいな。」

顔を見合わせた彼らは、不満を押し込め仕方なく島本の言葉に従った。

*****

朔良は島本にどんな目に遭わされても、大好きな彩の姿を見る為だけに、学校に通っていた。
時折、練習中の彩が視線が絡めて手を上げてくれる。確証のない、ほんの数秒の逢瀬の為に、朔良は不良の巣食う陸上部に在籍した。
朔良が上級生と付き合っているという噂は、一部の生徒の間で広がったが彩だけは知らなかった。


それから数年後、朔良は彼らと思わぬ再会をする。
交通事故で大怪我を負って以来、高校を休学し一切関わりもなくなっていたはずだった。

最近、朔良は医師に勧められて、リハビリのため近くの温水プールに通っている。
そこには、主治医の友人で、健康運動実践指導者と理学療法士の資格を持ったインストラクターが居る。
一般客が少ない空いている時間に、僕の患者を入れてくれないかという友人の言葉を訝しく思っていたインストラクターは、朔良が入会申し込みに訪れた時、「なるほどね」と口にした。
今は、その言葉の意味が解るようになっている朔良は、小さく頭を下げた。
インストラクターは表情を変えない美々し年に、ちらと不瞥をくれるとスケジュール表を渡し、淡々と極めて事務的に足の話だけをした。

「そこに上がって、足を投げ出してくれる?どれだけ動くか知っておきたいんだ。」
「はい。」
「リハビリはどれほど痛くても我慢して、動かすしかないんだ。君の先生もそう言ったは營養師推薦ずだけど……この様子だとあまり熱心にリハビリをしていないね。違うかな?」
「ええ、一度放棄しました。……反省してます。」
「取り返すのは大変だよ?ほら、ピアノの練習を三日さぼれば、元通り弾けるようになるには一か月かかるって言うだろう?ああいうものなんだ。頑張れる?」

そう言いながら、筋肉が固まってしまった朔良の足首に伸ばし、ぐいと力を入れた。思わず顔をしかめた朔良が、相手の顔を凝視する。